あったかブログ

2017/08/27 更新

非核「神戸方式」が世界から注目

原水爆禁止世界大会の第三分科会「非核平和の自治体づくり」で非核「神戸方式」について、兵庫県原水協の梶本修史事務局長が特別報告を行いました。 

その報告は―― 
①神戸港は戦時中の日本の基幹産業の中心地であったが、終戦後、米軍に全面占領され、米軍基地として年間百~三百隻の米軍艦が利用する補給基地の役割を果たした。 
②米軍基地のために米兵と市民とのトラブル、暴力団への武器・麻薬の横流しなどの事件が多発。市民と港湾労働者による米軍基地撤去のたたかいで一九七四年八月に神戸市への返還をかちとった。 
③非核三原則が国是とされる中、米海軍幹部ラロック氏の「日本への米軍艦から核兵器は降ろさない」との発言(七四年十月)を契機に、神戸市議会で、「核兵器積載艦艇の神戸港入港拒否に関する決議」が全会派一致で採択された(七五年三月十八日)。 
④神戸市は、神戸港に入港を希望する軍艦に非核証明書(核兵器を積んでいないとの証明書)の提出を義務づける措置を取った。 
⑤米国は、核兵器の存在を肯定も否定もしない政策を取っているので、非核証明書を提出できない。この手続きが始まって以降四十二年間、米軍艦の入港がゼロになった。 
⑥日本の港湾は、例外なしに地方自治体が管理者。この地方自治の力が非核「神戸方式」の法的根拠。 
⑦この背景には、日本共産党市議団が三議席から十議席に躍進(七一年四月)、市議会で安保条約反対派が過半数を占めた、軍事基地撤去を公約とする革新市政が誕生(七三年)などの要因があった。 
⑧米大使・総領事・海軍長官など米国関係者が米軍艦の神戸港受け入れを迫っている。 
⑨神戸市長が「非核証明書方式の厳守」を言明しないなどの弱点を乗り越える市民運動、市民世論が必要――など。 
会場からは、「非核『神戸方式』はどこでも実行できるのか」「国から神戸市に財政の締め付けなどの圧力はないのか」「戦争法成立で影響を受けるのか」「市議会で『神戸方式』をやめようなどの動きはないのか」など熱心な質問が出されました。 
「非核『神戸方式』の内容を初めて知った。自分のところでも実行するように運動したい」(神奈川県議など)との意見も相次ぎました。 

大会後、梶本氏は、日本の港湾に米軍艦が寄港する計画が起これば、全国的に抗議を集中する取り組みが日本原水協の指揮のもとに続けられているが、非核「神戸方式」を守り、広げる具体的な運動を、「ヒバクシャ国際署名」の取り組みと結合して推進することが求められていると痛感した―と語っています。 

(「兵庫民報」2017年8月27日付から転載)