市民の暮らしと福祉を守り、神戸経済を真に発展させる予算へ
日本共産党が組み替え提案
日本共産党神戸市会議員団は、三月二十七日に開催された神戸市議会で、市長提案の二〇一七年度神戸市一般会計予算案に対する組み替え動議を行いました。
党神戸市議団の予算組み替え提案は、二〇〇一年度以来十七年連続となりました。
久元喜造神戸市長の提案する予算案は、四年任期最後の予算編成ですが、市民との公約である中学卒業までの子どもの医療費無料化の実施を放棄。その一方、阪神・淡路大震災の復興課題にめどがついたとして、三宮再開発など、これまで手をつけられなかった様々な大型プロジェクトに取り組むと「大型開発復活」を宣言しました。
西ただす市議 |
日本共産党の西ただす市会議員は、大型開発による「都市基盤の整備」を進めれば、神戸経済の好循環につながるとする久元市長の考え方は、神戸空港などの失敗にも学ばない、破綻ずみのトリクルダウンそのものだと批判。
このようなやり方では神戸経済の衰退が進み、さらなる財政悪化につながると指摘。市民の暮らしと福祉を守り、神戸経済を真に発展させるための予算へと転換するため、予算の組み替えを提案しました。
将来を担う子どもたちと子育て世代への支援充実
子育て支援策の充実では、所得制限なしで中学校卒業までの医療費無料化の実施。全行政区で認可保育所の誘致を進め、公立保育所も建設。保育所保育料も政令市平均まで引き下げます。学童保育の予算の充実や中学校給食の自校方式への転換も推進します。
小学校全学年で三十五人学級を実施するほか、プレハブ校舎解消など詰め込み教育解消をすすめます。小学校給食は、保護者負担によらず公費負担で充実し、就学援助は拡充し、入学準備費の支給を入学前に前倒しします。
また、国の交付金制度も活用し子どもの貧困の実態調査と対策推進計画を策定します。若年世帯向けの家賃補助制度を復活させます。
医療・介護・福祉の充実を進め安心して住み続けられる街を
医療・介護・福祉の充実では、国民健康保険料の一人一万円引き下げ・介護保険料の五千円引き下げを実施。待機者解消のため特別養護老人ホームの建設を進めます。敬老祝い金の支給は復活し、敬老パスの無料化復活や福祉パスの生活保護世帯への交付の復活に加え、神戸電鉄粟生線など鉄軌道路線へ対象を広げます。
また、市バス路線の一方的な減便の押しつけに反対し、市民の意見を反映した公共交通の在り方の調査を行います。
企業誘致と成長産業支援偏重から抜け出し、広く中小企業 応援の経済対策に
経済政策では、神戸市の姿勢が、JRによる元町高架通商店街の追い出し問題に見られるように、商店街・小売市場を守る立場に立っていないと批判。行政との約束を破り続けている兵庫南部のイオン進出に対する甘い姿勢とは対照的だとして転換をもとめています。
中小企業振興条例を制定し、販路拡大につながるトライアル発注制度などで中小企業・業者の仕事づくり。地域経済の活性化につながる住宅・店舗リフォーム助成制度を創設します。ブラック企業・ブラックバイト規制の条例化をめざし、調査を実施します。従業員の賃金アップや正規化をすすめる小規模事業者にたいしては、若年層雇用安定奨励交付金の創設など必要な支援を行います。
広く市民の要求に応えて
そのほか、災害に強い神戸市をつくるため、消防隊員の増員や私有地土砂災害対策の抜本的強化に力を入れます。
葺合文化センターの現地建替え、多重債務の相談体制の確立、再生可能エネルギーの促進など広く市民要求に応えるための施策も進めます。
財源
以上の施策を実現するための財源は、大型開発偏重予算の削減で捻出します。
主なものは、区民の合意を無視して区役所移転を強行する三宮再開発。需要予測を大きく下回り補助金に依存している神戸空港。総事業費五千億円もの大阪湾岸道路の延伸化計画。国が成長産業として指定した事業者のみを応援するやり方や企業誘致の推進に偏重した予算など。これ以外にも、借上住宅からの一方的な移転を求める費用や、マイナンバーに関わる経費、議会費用弁償を削減します。
なお、財源不足分については、空港開港までは一般会計に繰り入れていた新都市整備事業利益剰余金の繰り入れ、百二十九億円もためこんだ財政調整基金の一部を活用することを提案します。公共投資も大型開発から保育所など地域密着に見直すとともに、市債発行額も圧縮し、将来への負担軽減もはかれます。
これらの提案は、久元市長の予算案のわずか二・五%を組み替えることで実現できます。