地域コミュニティ支える市営会館の存続を(あったか連載)
地域コミュニティ支える会館は市の管理で存続を
2014年6月のビラ |
鶴甲会館はどうなるの?と住民の方に、今、疑問と不安の声がひろがっています。
鶴甲会館は灘区の最北部に設置され、長年、地域のコミュニティセンターとして利用されてきましたが、耐震強度の不足から二〇一五年度末で使えなくなると神戸市の見解が出されました。
大半の住民がこのことを知ったのは、二〇一三年末に配られた日本共産党の味口としゆき神戸市議の市議会報告ビラででした。
鶴甲団地は昭和四十年代、神戸市が「山、海に行く」と呼んだ開発事業の始まりとなりました。東部の海面の埋め立てに鶴甲山の土砂を採取。跡地に鶴甲団地を造成した際、地域住民の福祉と文化向上を図るコミュニティ施設として鶴甲会館が設置されました。以来今日まで、地域住民をはじめ灘区民、神大生など広く利用されてきました。
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神戸市は、鶴甲会館について、行財政改革の一環として、住民自治組織または民間事業者による管理が望ましいととして、市の管理から手放す計画を進めています。これは市民生活犠牲、福祉切り捨ての一方で大企業支援、企業誘致優先の基本方針にそったものです。
しかし、計画をすすめるうちに、会館の自主管理を提起するには地元住民組織がたいへん困難な状態にあることが分かってきました。
鶴甲団地は高齢化が進み、六十五歳以上が人口の二九%。一丁目から五丁目では三四%にもなっています。地域の活動への参加は減少しています。連合自治会の組織率も大きく低下しているのが現状です。
神戸市は、昨年から五回ずつの二度にわたるワークショップを開催し、鶴甲会館について住民の声を聞く取り組みをしていますが、参加者はそれぞれ数十人で住民全体を対象にしたものではありません。
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それに対し、住民の運動が大きく広がりました。
私たちは「鶴甲会館問題を考える会」を結成して、味口市議から、神戸市の動きなどについて二回、聞く機会をつくりました。参加者は神戸市の考え方、歴史的経過を学び、たたかいの大きな力となっています。また、神戸市に対し全住民を対象とした「説明会」を開くことを要請し、実施させました。
「考える会」とは別に住民有志による要求署名活動(約千筆)も取り組まれました。住民や会館利用者と対話をしながら署名を集める活動は、住民との結びつきを強化し、切実な要求を集約する活動として画期的で、「考える会」の私たちも大いに励まされました。
昨年九月には、みなと総局に陳情しました。署名活動に取り組んだ二人と私の三人が市議会委員会で陳述し、地域の切実な声を市当局に直接伝える機会となりました。
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以上の活動や神戸市の方針を知るなかで、神戸市政が住民の暮らし、福祉、教育、子育てについて本気で考えているのか?という疑問が鶴甲地域に住む方々の間に広がりました。
私たちの税金が誰のために使われているかについて知る機会となっていることは、今後の鶴甲会館問題を考える上で大きな力になります。
さらにたたかいのなかで神戸市政の現状を知る人々が広がっていくと確信しています。
(2016年3月6日付「兵庫民報」掲載)