神戸市新年度予算案―三宮一極集中進み、地域と福祉は後退
2016年度神戸市予算案
市民の暮らし・営業の応援よりアベノミクス「成長戦略」展開
神戸市は総額一兆七千七百二十一億円の二〇一六年度予算案を発表しました。
重点は大型プロジェクト
久元喜造市長は、都心の再生などの「プロジェクトを重点的に展開」するとして、三宮再開発に二十三億円、ウオーターフロント整備に七十二億円、巨大港湾づくりに百四億円、神戸空港に三十二億円、医療産業都市構想に四十二億円を計上しています。
地場産業や既存小企業支援の拡充要求は見送られる一方、誘致企業や新産業をすすめる大企業支援メニューを増やすなど、アベノミクスの「成長戦略」を本格展開しています。
市民サービスは後退
こうした施策をすすめるため財源づくりで市民サービスは後退。新年度は敬老祝い金や配食サービスの廃止、小中学校や幼稚園の統廃合など、五十二事業を見直し。影響額は今後五年間で百億円にのぼります。民間委託は、中学校給食が調理業者の安全基準違反で提供を中断したにもかかわらず、小学校給食の調理まで広げようとしています。
三宮では再開発を進める一方、市全体の公共施設は、三十年で延床面積の一〇%削減をうちだし、小中学校や地域施設、市営住宅の統廃合で地域の切り捨てをすすめようとしています。
市長は「ポスト震災二十年」を掲げ、借り上げ復興住宅の明け渡しを求めて入居者を提訴。被災者の生活実態に寄り添わない冷たい市政が浮き彫りになっています。
市民の運動の反映も
予算案では「三宮一極集中」への批判や市民の粘り強い運動が反映しています。
子どもの医療費助成は、就学前までの所得制限を撤廃、三歳以上の一部負担金は四百円に。母子等、重度障害児、小児慢性特定疾患医療費助成も改善。多子世帯の保育所保育料も国と県に上乗せして軽減します。
HAT神戸に小学校と特別支援学校を新設。御影北小学校の増改築を予算化。学童保育は全公設施設で十九時まで受け入を実施します。
西神中央駅周辺に区役所を建設。阪急花隈駅のバリアフリー化。神戸電鉄の高齢者利用促進パスは、神戸高速鉄道に乗り入れできる「シーパスワンプラス」(一枚五千七百円)が発行されます。
市政の軸足を三宮一極集中・「成長産業」頼みではなく、暮らしと営業応援に移すことが求められます。
(2016年3月6日付「兵庫民報」掲載)