あったかブログ

2016/05/01 更新

巨大なバスターミナルは三宮に必要か(あったか連載)

巨大な中・長距離バスターミナルは必要か?

日本共産党神戸市議 森本 真
 
久元喜造神戸市長が、二〇一三年十月の市長選挙で掲げた「輝ける未来創造都市――世界に誇れる夢のある街に」の構想は、「都心・三宮の再整備」として、「神戸の都心の未来の姿(将来ビジョン)」と「三宮周辺地区の再整備基本構想」(ともに二〇一五年九月策定)として進められています。

これらの計画は、JR三ノ宮駅、阪急三宮駅の建て替え(百メートルをこえるビル化)が基本となっていますが、両鉄道事業者は具体的な計画を発表していません。

区役所、勤労会館、サンパルを「ぶっ壊して」

そういう中で、中央区役所、勤労会館、サンパルを「ぶっ壊して」(三宮構想会議での委員の発言)、中・長距離バスターミナルを整備する構想がでてきました。

都心三宮推進本部の資料から(一部を拡大)

二〇一五年九月に開催された「将来ビジョン・三宮再整備」の合同会議で、久元市長は、「まず、着手ができる可能性が高いエリア、これが三宮駅の東南方向に当たる、現在の中央区役所、あるいは、勤労会館を含むエリアです。ここは、神戸市が主体的に進めることができる……種地の創出を含む事業着手ということについて、できるだけ具体的に進めていきたい」と語りました。

また、事業を進める担当課長は、「最初のステップとして、まずは、三宮東エリアでの(中・長距離)バスターミナルの整備が急務と考えております。バスターミナルの整備に向けて、中央区役所や勤労会館をどうするのか、検討を始めております。また、整備エリアの地権者の方々と一緒に事業化に向けた検討を行うとともに、バス事業者ともバスターミナルの機能的な整備、効率的な運営に向けた協議を始めてまいります」と発言しました。

現在は、市長をトップとする全庁横断の都心三宮推進本部に「新バスターミナル整備部会」を設置して、進められようとしています。

しかし、そんな大きなバスターミナルが必要なのでしょうか?

 

新宿、天神と比べても遜色ない現況

現在三宮の中・長距離バス乗り場は、ミント神戸一階、空港リムジン(交通センタービル南西)、神姫バス(三宮駅東高架下)、夜行バス(三宮高架下商店街)、三宮東(そごうの東側)の五カ所です。

ミント神戸バスターミナルの案内板

一日約千三百五十便(ホテルバス含む)のうちミント神戸に七百八十便(約六〇%)が集中しています。ミント神戸には乗降場が十一バースありますが、高速バスには一バースのみ使用で、おりばが三バース、路線バス・ホテルバスに四、五バースも使っています。

ミント神戸:780便、11バース(のりば8+おりば3)
バスタ新宿:1625便、15バース(のりば1+おりば3)
西鉄天神高速バスターミナル:1600便、9バース(のりば6+おりば3)

最近テレビや新聞で紹介された四月四日オープンの東京・新宿の「バスタ新宿」は、新宿駅西口の十九の高速バスのりばを集約したもので、一日千六百二十五便、百十八社が乗り入れる日本一の高速バスターミナルです。ここのバスのりばは十二バース、おりば三バースの合計十五バースで日本一です。

その次に大きいのが、福岡・天神の「西鉄天神高速バスターミナル」で、一日千六百便で、のりば六バース、おりば三バースの九バースしかありません。

ミント神戸は、阪神・淡路大震災で倒壊した神戸新聞の社屋を、都市再生緊急整備事業に指定し、容積率を八百%から二倍の千六百%に緩和(二倍の建物ができる)して、神戸新聞社が約百億円をかけて建設しました。一階のバスターミナルを神戸市が公共施設として十五億円で買い取り、区分所有しています。

十一バースもあれば、千三百五十便のバスの集約は、ミント神戸で十分ではないでしょうか。

ミント神戸(左):国道2号線への出入り

三宮の再整備の論議の中で、バス事業者からでているのは、サイン(案内)とミント神戸のバスの出入りの使いにくさです。ここさえ改善すれば、中・長距離バスがミント神戸に集約できるはずです。

国施策や民間事業者の取り組みに便乗

久元市長をはじめ神戸市はなぜ、中央区役所や勤労会館をつぶそうとしているのでしょうか。それは、都市再生緊急整備事業(国の施策)の中身に起因しています。民間の都市再生事業者が行う、公共施設の整備を伴う事業において、既存の用途規制や容積率制限、高さ制限、日影規制が適用除外となります。

ここで、民間事業者に、「神戸市の勤労会館などの土地も含めて、大きなビルを創ってください。その一階は公共施設のバスターミナルにします。容積率が二倍のビルが建てられます。建物が完成したら、バスターミナルを買い取ります。また、中央区役所や勤労会館なども建物に入れてくれれば、それ相応な買い取りや賃料を払います」ということなのです。

それが久元市長のいう、国や民間事業者による取り組みの機運を逃さずプロジェクトを進めるということなのです。