ストップ!神戸空港の会が総会
「ストップ!神戸空港」の会は8月20日、第15回総会と学習会をあすてっぷKOBEで開催しました。
神戸空港は、今年2月に開港十周年を迎えました。しかし旅客数も空港用地の土地売却も当初計画を大きく下回っています。空港本体の運営では、10年で合計16億円の大赤字です。久元喜造神戸市長は、起死回生を空港「運営権」の民間売却にかけようとしていますが、財政が好転する見通しは示せていません。
「会」は、市民の反対の声を無視して開港を強行する際、神戸市が「市税と雇用増加」「市民福祉に還元」などと説明してきたことの再検証をもとめました。しかし神戸市は「空港だけの効果を算出するのは困難」。実績が予測を下回っているのは「リーマンショックなど社会経済状況の激変が原因」などまともに回答しようとしていません。
第一部の総会では、北岡浩事務局長が、開港してから十年たつ神戸空港の現状と、「会」の活動について報告しました。
「会」は空港十年を検証するフルカラーパンフレットを六千冊作成し、すでに五千冊を普及しています。北岡氏は「実態を市民に知ってもらい、今後の空港の在り方を広く議論したい」とよびかけました。
第二部では、空港の失敗に反省することなく三宮大開発をすすめる久元神戸市政の検証をテーマに、「神戸版地方創生を斬る」と題して奈良女子大学の中山徹教授が講演しました。
講演する中山徹教授 |
中山氏は、安倍内閣がすすめる新たな国土と地域の再編計画で地域の公共施設の統廃合などが焦点となっていると指摘。人口減少のなかで東京に投資を集中し、府県をコンパクトに縮小する施策がすすめられるなか、神戸市では三宮に一極集中し、地域の小中学校や幼稚園や市営住宅、会館は再編縮小という形ですすめられようとしていることについて、「人口減少を施設の削減で対応するのではなくゆとりあるものに変えていく。限られた財源を人々の生活を支える公共事業にこそ活用するべきです。二十世紀につくられた国土や神戸市をどうするか、負の遺産もある。今の政府や神戸市長らは彼らなりに神戸をつくりかえるビジョンを示している。市民の側もどういう神戸をつくるかのビジョン・提案を考えるべきです」と述べました。
「会」の代表委員の武村義人医師は、主催者あいさつで「安倍内閣の補正予算にあわせ、湾岸道路などあらたな大型開発も始まろうとしている。大開発の一方で地域の生活環境やインフラを後回しする市政でいいのかが今後問われる」として、どんな神戸をつくるのか、今日の学習会を出発点に一緒に考えていきたいとしました。