あったかブログ

2014/07/27 更新

県立こども病院 会が患者アンケート結果を公表

 「県立こども病院のポーアイ移転計画を撤回させ、周産期医療の拡充を求める会」(略称=こども病院連絡会)は7月17日、記者会見を行い、この間とりくんだ「県立こども病院のポートアイランド移転に関する患者・家族アンケート」の結果を発表するとともに、アンケート結果にもとづき行った兵庫県への要請(15日)の内容を報告しました。

 会代表の1人柳田洋兵庫障害者連絡協議会副会長は、今でも「3.11を経て高台から埋立地への移転は反対だ」「アンケートでも反対の声は多く、不安が多くだされており、県はこの声に応えるべきだ」と訴え、中川和彦事務局長は、「県はこの声に誠実にこたえようとしていない」と批判しました。

 アンケートは、建設工事が着工されたもとで、患者や関心を持っている人に、病院前でアンケート用紙を手渡すなどして実施しました。回答者総数は315人。うち通院中の人が106人、かつて受診したことがある人が53人――合わせて半数以上が同病院利用者からの回答となりました。居住地は62%が神戸市内ですが県内各地、島根や滋賀の人もいます。

「説明受けた」は1割だけ

 移転について病院スタッフ等から説明を受けたかとの問いに、「十分な説明を受けた」はゼロ。「十分ではないが説明を受けた」も10%に過ぎません。84%は「説明は受けていない」。このアンケートで移転を知り、びっくりした人も少なくありません。
 しかも、「説明を受けた」と回答した人のうち「納得した」と答えたのは1人だけでした。

 
Q.説明がありましたか?
十分な説明を受けた 0%
十分ではないが説明を受けた 10%
説明は受けていない 84%
わからない 5%
無回答 1%

8割が「移転に不安」

ポートアイランドへの移転については「大きな不安」48%、「ある程度の不安」32%。8割の人が「不安」を感じてます。

 
Q.ポーアイ移転に不安は?
大きな不安を感じる 48%
ある程度の不安を感じる 32%
あまり不安は感じない 9%
まったく不安は感じない 2%
わからない・無回答 9%

アクセス

現在の通院所要時間と移転後の見通しについては、「30分以内」は、現在45%ですが移転後には20%に半減、かたや「60分を超える」は現在の15%から32%に倍増します。こうしたことから移転にともなうアクセスの変化に「不安を感じる」と答えた人が65%にのぼります。

 
Q.通院の所要時間は?
所要時間 現在 移転後
30分以以内 45% 20%
60分以以内 40% 48%
60分超 15% 32%

なお、回答者のうち9人は現在地のこども病院で受診するために転居したと答えています。

巨大災害

 

南海トラフなどによる巨大災害時に移転後の新病院がどうなるか、「被災する可能性」についても、「孤立する可能性」についても、それぞれ89%、87%が「不安を感じる」と答えています。移転のために県・神戸市が行っている防災対策について「詳しくは知らない」「まったく知らない」が89%ですが、「よく知っている」「だいたい知っている」と答えた人の84%が防災対策は「十分ではない」と答えています。

現在地にも「こども病院」を

移転後の跡地(現在のこども病院)については、「分院として残してほしい」に60%、「何らかの医療機関を設置してほしい」に25%の回答がありました。

自由意見欄には「今からでも中止して」の声も多く記載され、患者家族そっちのけの移転強行があらためて明らかになりました。

兵庫県当局へ要望申し入れ

こども病院連絡会は7月15日、兵庫県当局に対し、このアンケートを示し、5項目の要望を申し入れました。

1、南海トラフ巨大地震被害想定でさらに孤立、機能を果たせない可能性が大きい。
  ①今からでも中止を
  ②災害時の危険性について説明を
2、患者家族への説明をおこなうこと、新病院移転について意見を聞くこと
3、患者アンケートで寄せられた要望にこたえること。
4、移転後の跡地について分院、もしくは医療機関を設置すること。
5、県内2カ所しかない総合周産期医療センターが隣接することから県内の配置計画を見直すこと。

会は要望書を事前に提出し、文書で回答を求めていましたが、県は口頭での回答に固執しました。

県側は、「災害時も新病院が水に浸かることはない」「橋などの被害については神戸市と最小限にする相談をしており万全」「もし橋が通行不能でも、ヘリポートがある、ヘリコプターが使える」と回答しました。

会側が「何機あるか」と聞くと「県内はドクターヘリが2機、あと1機県が保有している」「孤立したら徳島や岡山、近畿からも支援がある」と強弁。会側は、「こども病院専用ヘリではない。大地震で同様に被災した地域から支援があるのか」と批判しました。

患者・家族への説明について県側が「説明はした」と回答したのに対し、人数を明らかにするよう求めると「2回、48人」に過ぎないことが判明。

アクセスについても、「バスの増便などは神戸市と相談している」といいつつ、「どこに行っても問題は起きる」と無責任な態度をしめし、会側の参加者から批判の声が起こりました。

跡地利用について、「分院は無理」「医療機関の誘致は検討したい」と回答しました。

県への要請やアンケート発表の記者会見には、きだ結県議も同席しました。

(2014年7月27日付「兵庫民報」を転載)