憲法を土台に 点から線、面へ運動ひろげ医療・介護総合法案阻止を
兵庫県社会保障推進協議会と神戸・市民要求を実現する会は、4月26日、日野秀逸東北大名誉教授を迎えて憲法と社会保障、医療・介護改悪法案の学習会を開き、80人以上が参加しました。
日野氏は、はじめに、憲法にもとづく戦後日本の民主主義体制を敵視し、戦前・戦時の日本に逆戻りさせる安倍自公政権の狙いを、自民党の改憲草案から解明。安倍首相の靖国参拝はアジアはじめ世界中から批判され、首相としての資質が疑われていると指摘しました。
改憲草案には平和的生存権、基本的人権の制限、自助・共助、道州制を見込んだ基礎自治体への社会保障マル投げなども盛り込まれていると批判し、憲法25条は、英文では「精神的にも肉体的にも社会的にも十分な状態」としており、憲法の魂は「いのち輝く」と強調しました。
日野氏は、19本もの法案を一括した「医療・介護総合法案」は改憲草案の考え方、財界の提言を貫いていると指摘し、入院ベッドの削減、看護師の医療行為緩和、訪問介護、通所介護サービスを全国一律基準の介護保険給付からはずし量・質ともに格差・差別される市町村事業へのマル投げ、特養ホームの要介護3以上限定、利用料の2割負担化など医療、介護改悪法案の内容を憲法原則から詳細に批判し社会保障の全面改悪を告発しました。
日野氏は、改悪生活保護法の7月実施にあたって、口頭申請や、扶養義務者等への通知について原則と例外を逆転させた省令案が短期間の運動と世論、国会論議によって異例とも言える修正を勝ち取ったことや、著名4氏の呼びかけで6,000人が国会を包囲した「4・24ヒューマンチェーン行動」など、一点共闘の広がりに確信をもって、点から線、線から面へ共闘を広げ、憲法を土台に、基本的人権が尊重される日本に革新する運動を呼びかけました。
参加者からは、大企業の内部留保の社会保障への活用や、認知症の地域ケアシステムをどう考えるかなどの質問が出されました。日野氏は、不当にため込んだカネを公共の福祉のために拠出させることは憲法でも認められており、内部留保を国の基金に拠出させて運用することも考えられる。住民の安全安心はボランティアまかせでなく、一義的には自治体が負うべきとし、北欧の地域コミュニティや、県下の経験に学んで、研究、実践の到達点を専門家やチームの論議をふまえた対応を呼びかけました。
吉岡正雄県社保協会長は消費税代増税は受診抑制を招きいのちに関わると批判、年金や生活保護不服審査請求の運動の広がりを紹介し、社会保障総改悪を阻止する運動をさらに広げたいと呼びかけました。津川知久神戸・市民要求を実現する会代表は、憲法のかなめは「いのち」、25条は「人間の尊厳」とし、「医療・介護総合法案」廃案の運動ととともに、神戸市にたいしては、各種の要求のかなめに憲法があり、実現を阻んでいる行政が憲法に反することを明らかにしていくことが政治をかえ改憲を阻止する大きな力になると訴えました。
「憲法と結びつけて社会保障の改悪をわかりやすく話していただき、大変な法案であることが理解できた」などの感想が寄せられました。